店舗で採寸したお客様のデータは佐賀県武雄市にあるONLYの自社工場、オンリーファクトリーに転送されます。テーラーメイドは通常の既製品ラインとは別の工程を辿りながら、お客様の仕様に合わせて一着ずつ大切に仕立てられるのです。
送られたデータはコンピューターシステムによって、お客様に最適な型紙を作り上げます。お客様がご注文された生地は型紙に合わせて正確に裁断され、各パーツごとに熟練した職人によって縫製作業が行われます。
ここで特筆すべきは、工程の途中にアイロンで生地を立体的に成形する作業が組み込まれていることです。これがONLYのスーツが卓越したフィット感を誇る秘密。平面の生地は、どんなに良い型紙でも、縫製だけで人の身体に沿うよう立体化することはできません。そのためアイロンで丁寧に生地を調整する「くせ取り」という作業を施すことで、着る人の身体を柔らかく包み込むスーツが出来上がるのです。ONLYは「紳士服中西」の頃から、手仕事で丁寧にスーツを仕立てることを継続しているのです。
オンリーファクトリーでは湿度管理が命。生地や機械工具に水滴が付かない超音波加湿器が天井に10台取り付けられていて、常に空間の湿度を60%に保っています。これは日本の気候風土を考えてはじき出された数値です。
さらに縫製工程の途中でも生地パーツに水蒸気を含ませ。最適な状態に保つのは、湿度の高い日本において、実際に着られるときのことを考えての一手間です。
こうして生産されたスーツに対して、ファクトリーでは「着用試験」と呼ばれる、生地と縫製とのマッチングテストを行っています。どんな素晴らしい生地であっても良いスーツに仕立て上がるとは限りません。縫製やパターンの相性によって仕立て映えが変わるのです。実際にその生地で仕立てて着用してみるテストで、相性が良くないと判断されれば、たとえどんな著名な欧州メーカー生地であっても商品化には至りません。自分たちで企画して、作り、販売するオンリーの体制だからこそ、徹底的に品質にこだわりぬけるのです。